農業レポート
栽培方法の違いと適正価格
今回の農業レポートは農産物価格についてです。
農産物について、一般消費者の方は、安ければ安いほど良いと
思われている方も多いと思います。
また、世間一般のエンゲル係数は低くなっており、
食費よりも、趣味や娯楽にお金を振り向ける方も多いと思います。
そこで、今回は、生産者サイドと消費者サイドの両面から検討してみました。
まず、私を含めて生産者サイドの目から見ます。
栽培種類別,種の種類別に、価格の低い順(=難易度の低い順)から並べると
これだけの組み合わせがあります。
栽培種別 (種の種類) F1種 vs. 固定種
①慣行栽培(農薬*肥料使用) 1 2
②減農薬*化学肥料(除草剤使用、農薬散布回数減) 3 4 oisix,ラディッシュボーヤ
②無農薬*化学肥料 5 6
③無農薬*有機肥料(牛糞等動物糞を含む) 7 8 有機栽培
④無農薬*有機肥料(植物資材のみ) 9 10 有機栽培
⑤無農薬*無肥料*耕起 11 12 自然栽培
⑥無農薬*無肥料*半耕起 13 14 自然栽培
⑦無農薬*無肥料*不耕起 15 16 自然農
なお、私どもは自然栽培12,14のレベルです。
私の市場調査の結果では、慣行栽培レベル1のナス1個がスーパーで50円とすると
デパートの地下で生産者名のついた有機栽培レベル7,9で100円で販売されています。
また有機栽培レベル8,10自然栽培レベル12,14でともに150円くらいです。
固定種の希少性・高難度から高くなっています。
(なお、レベル1でも、特殊な野菜に特化しての高級品を作り
市販価格の10倍で出回っている地方野菜(例:京野菜)もあります。)
おもに、おいしさと安全度より、
手間と収穫量面:原価面から、価格設定がなされているようです。
ただ、有機栽培レベル8,10と自然栽培レベル12,14では、
明らかに収量について、自然栽培の方が少ないので、
価格は更に跳ね上がるはずなのですが
高価格野菜のマーケットでは、
1)自然栽培が後発であること、
2)従って、ブランド形成力・営業力が弱いことと、
3)障害者やボランティア的経営で
規模を大きくしてある程度のロット生産をすると、
量が出ないといけないことから割安の販売に走っていること
などが原因です。
私自身としては、自然栽培レベル12,14は、適正価格200円に
して行くべきだと考えております。
そうしないと、自然栽培農家継続した後継者育成ができず
いずれ有機栽培農家に、変わって行くことになるでしょう。
自然栽培農家は営業力をつけて、適正価格での販売を志向するべき
と考えております。
次に、消費者サイドから見た場合どうかを私なりに考えてみました。
これについては、皆様のご意見を頂戴したいです。
さて消費者サイドで以下の2点で分析してみました。
1)質の面からの評価
2)価格比較面からの評価
1)質の面では
①栄養価の評価
過去、私も言っておりましたが、
ホウレンソウの栄養価が1/6とか減少したというのは
誤りでした。
比較した期間で、栄養分析方法が異なっておりました。
そこで、同一の評価方法の範囲ではどうか
私自身入手した表で分析いたしました。
4訂日本食品標準分析表:1982年と
7訂日本食品標準分析表:2015年の2期間で比較いたしました。
結果、こまつな、ホウレンソウについては半減していました。
しかし、それ以外は顕著な変化はありませんでした。
②健康度の評価
これは、腐敗実験で可能と考えております。
結果として
慣行栽培のものは、腐敗し
自然栽培のものは、枯れるか発酵します。
この理由が重要です。
慣行栽培のものは、野菜の中の微生物多様性が劣っており
自然栽培のものは、微生物の多様性が優れているのではと
考えております。
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