農業レポート
自然栽培の中でもこだわり度が異なる
世に自然栽培と言われるものでも、千差万別です。
認証自体も複数あります。例えば羽咋市でも行っております。
自然農では岡田茂吉氏の推進されているグループも基準を出しておられます。
有機栽培に極めて近いものから、自然農と言われるもの、私どもの認証取得しております木村式自然栽培まで様々です。
私共河野農園は、木村式自然栽培の認証を取得しておりますが
私見として
自然栽培の根幹は、自然の生命循環を維持し環境との調和を図ることにあると思っております。
この条件を外してしまうと、長期の視点を見失ってしまうからです。
短期的な利益追求志向が強い現代社会では、自然栽培といえども工業的な短期合理性が重視され、自然本来の多様性を放棄してしまいがちになるからです。
ただ、事業化の過程で、栽培作物の本来の条件(生育気温等)から、物理的な補助資材の使用を認めなければならないと思います。そうでないと、収穫できる作物が限られてしまい、事業として成り立たなくなってしまいますので。
これは、木村式自然栽培でも認められております。
(例:ハウス、雨除けハウス、マルチングや暗渠工事等の排水施設)
さて、多様な自然栽培を整理して行く中で、私ども河野農園のこだわりをご紹介させて頂きます。
まず、自然栽培の条件を難易度が上がる順に積み上げていきましょう。
1.無農薬+無肥料・・・・・・・・・・・必要最低条件
初期防除で土壌消毒がなされることがありますが、これは自然栽培に該当しません。
2.耕作期間が3年以上 ・・・・・・・・3年未満は移行期間と言われます。
肥料成分が消えるのに短くても3年はかかるからです。なお、土を毎年入れ替える使い捨て方式は自然栽培とは言いません。自然循環の考えに反します。1cmの土を作るには最低でも10年から100年かかります。
3.土壌改良に、完熟堆肥のみ使用 ・・・
完熟堆肥は、その圃場で取れた雑草等を3年間かけて堆肥化したものを 言います。輸入飼料を食べた牛・鶏から排出される牛鶏糞を使用しての完熟堆肥は、自然の生命循環からはずれるので対象外となります。
4.水は井戸水を使用。もしくは湧き水等の農薬肥料の入らない源流水を使用。
平野部、下流域では、途中に慣行栽培の水田・畑があるので農薬肥料の混入は不可避です。従て、井戸水を使用することになり、当然に水質検査が必要になります。
5.種は固定種。・・・・・・・・・・・・・生命伝承機能を持っている
自然栽培で流通している野菜のほとんどがF1種です。耐病性に優れ、形が整い収穫時期がそろうからです。
固定種では、生長速度がばらばらでそろわないため、収穫作業が大変です。
6.固定種の種を自家採種・・・・・実際に種を自分の圃場で取っている。
自家採種するには、余分に畑が必要です。
交雑を考えると、独立・隔離された圃場が別に必要です。
以上の条件を満たしている農家のパーセンテージを求めてみると、概要以下の通りです。
①有機栽培・・・・・・・・・0.4% 日本の耕作面積比(農林省統計による)
以下は統計データがないので推測ですが
②自然栽培・・・・・・・・・自然農を含め①有機栽培の1/10
有機栽培に行き詰った方がなされます。
最初から自然栽培に飛び込む方は少ないです。
③固定種を使用・・・・・・・②自然栽培の1/10
ナチュラルハーモニー銀座店の店頭に並ぶ野菜の履歴から判断
④自家採種を実施・・・・・・・③固定種の1/5
実際に採取してみて、その困難度から判断
種取り圃場を設ける余力と、収穫後の作業が余分に必要です。
となると2の期間、4の水の確保を考慮外としても
日本の農家(正確には耕地面積)の0.004*0.1*0.1*0.2=0.000008
となり多くて10万分の1になります。
日本の全耕地面積461万ha*0.000008=3.7ha
日本の全農家253万*0.000008=20戸
という推測が付きます。
いかにわが農園が稀少な存在であるかがわかると思います。
これが、わが農園はonly 0neを目指す根拠でもあります。
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