農業レポート
国際土壌年と文化土壌学
2015年は国際土壌年であることを、以前ご紹介いたしましたが
今回は陽捷行先生の文化土壌学のお話です。
先生は、北里大学の名誉教授で代替医療と代替農業の連携が必要だと説いておられます。
その基盤が「土」です。
土は「生命」そのものである。人間は土から生まれて来た。土からできる食べ物を糧に生きている。だから、医療も農業もっと土とつながらなくてはならないという主張です。
土には、「生命」を規定する20の条件(Living Systems by James G. Miller)の中で、最も重要な要件である「再生産」の機能を持っております。
土の中の多様な微生物が、土の再生産を行ってくれています。
農業は集約化により食料の増産を可能にし、世界の貧困化を救ってきたのですが
その代わりに、窒素肥料過多から、地下水汚染、オゾン層破壊、温暖化を進めてきました。
また、バイオテクノロジーの進化も生産性向上の観点から、収量増加に貢献できたものの
土の養分減少をまねき、多くの耕作地を不毛にしてきました。
我々は、たった18cmの土壌の上に生きています。
その「土」の循環を可能にする100万種以上に生き物によって生かされていることを
もっと真摯に受け止める必要があると思います。
先のメールでご紹介いたしました大本教第2代教主のお言葉にもありましたが
「土によって生かされている。土に感謝する。」ということが、なるほどと合点が行きます。
土壌は、文化、文明の基盤です。
大きな文明が崩壊した後は、砂漠化した土が残され、誰も住めなくなっている廃墟をよく
目にしますが、このことを示してくれております。
「人」が、再生を放棄した時、自ら消滅して行くことになるのは、致し方ないところです。
そのような、民族の末路は、旧約聖書や各地の伝説に警告的に記されております。
今、原点・土への回帰が望まれております。
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