セミナー報告

第4回自然栽培東京セミナーのご報告

4回自然栽培東京セミナー報告

                               文責:河野 豊

今回は,29名の参加を得て、有楽町帝劇ビル地下2階にある神戸大学東京六甲クラブにて2018101118時半開始。

1部は、息子たちのお話

短い時間ながらも、濃厚な内容の話をしてくれました。

1. 自然栽培の現状と今後について

自然栽培の課題と河野農園の対応について、農園主次男:河野 遼(はるか)より

お話させて頂きました。

   今回は ➀種子法廃止

➁農薬規制緩和

③遺伝子組み換え の3つを取り上げました。

   これらの詳細は省かせていただきますが

(ご希望の方はメールにてお申し出ください。別途お送りいたします。)

   河野農園としては、上記課題のそれぞれに対して

   ➀自家採種のための種取り圃場の用意と交雑を防ぐハウスの建設を進めております。

   ➁メイン圃場の上流農地を借り入れ、農薬が流れ込まないようにしました。

   ③遺伝子組み換え作物との交雑による訴追を防ぐため、山間部の源流域にある

    耕作放棄地を借り入れ、種の純正を保持します。

2. 有害鳥獣の駆除について

 猟銃と罠の免許を取得している猟師の長男:河野 央(ひさし)より

 現状抱える課題についてお話させて頂きました。

 ➀有害鳥獣の被害状況

 ➁猟師高齢化

 ③一部不心得猟師による不正とその影響

 ④捕獲専門法人について

さらに踏み込んで、獣害による耕作放棄地拡大を止めるためには

昔の日本のように「農家は銃を持って自ら立ち上がりくい止めるべき」との持論を

展開いたしました。

3. 自然栽培の加工食品開発について

 サツマイモやにんじんの干し物を手がけている三男:河野 亘(わたる)より

 彼が今後取り組む予定のものまで含めてお話させて頂きました。

  ➀干す・・・・干し芋、干しにんじん

  ➁冷凍する・・・冷凍ミニトマト、冷凍枝豆

  ③漬ける・・・キュウリのきゅうちゃん漬け

   基本は、旬の味を長くお届けしたいとの思いから行っております、

   そのために、衛生管理も徹底し、保健所の認可もとれる調理工場を建設しております。

以上の第1部に続き、第2部として今回初めてパネルディスカッションを行いました。

パネラーをご紹介させていただきますと

荻原彩子様 ナチュラルスタイルを主催する食育コンシェルジュ。

      ナチュラルスタイルはFB非公開グループとして4500人を超える

メンバーを擁し、私ども河野農園のお客様も数多く参加しておられます。

      食の安全を中心に、自然農・自然栽培・有機栽培農家を支援され

添加物や化学調味料から医療・薬の問題まで

幅広く啓蒙活動をされておられます。 

最近は、高校生にまで授業の中で、食についての教育を実施されておられます。

吉田美香様 華道家。

トヨタの最高級車センチュリーモデルチェンジのCMに華道家として登場。

また、シヴァナンダヨガのインストラクターでもあり、ベトナムに行かれて

まで研鑽される活動家。

      さらに植物に親しむ中から、生まれ故郷である大分にて聖なるハーブ

「トゥルシー」を無農薬栽培&販売中。

      FBにて2400人強のフォロワーを抱える美貌と人望を備えた若き活動家です。

大槻 博様 イタリア料理を研鑽し地元にイタリア料理店を開くも病に倒れられ

      その中で、荒廃してゆく里山に胸を痛められ活動されるも、くも膜下出血に

倒れ後遺症で苦しまれました。

      そんな中、木村秋則氏に出会い勇気をもらい、NPO法人木村秋則自然栽培

に学ぶ会を立ち上げ事務局を務める。

今はさらに大地の再生を進める矢野智徳氏からも学ばれ、

癒やしの里山作りを推進中です。

穏やかなお顔の中に秘めたるエネルギーは計り知れないものがあります。

以上、3名の方々と私とでパネルディスカッションを行いました。

テーマを「1000年続く農業(私どもの「自然栽培」)と言っているが、可能なのか?

     可能とすれば、それを支えるものは何か?」と大きく取り上げ、

そのための基調となるお話を私の方からさせていただきました。

現在の日本は、農政・農業を捨てているのでは?

    その根拠は ・種子法の廃止

・遺伝子組み換えと除草剤

・高齢化(後継者不足)

・(自然)災害による離農・・・・・今回の豪雨・台風で顕著

・農業用水路の崩壊・・・他の公共設備同様建設後50年近く経過し

                     水漏れ激しく水が来ない、経路がズタズタ

・山林・河川の崩壊・・・山が杉・檜ばかりで根が弱い

竹が侵食し、地盤がもろい

川が泥汚染で死んでいく。源流にあおこ。

この先に来るものは?

工業型農業    ・・・農薬・肥料多用のモノカルチャー

見た目生産性は高いが、実態は栄養・生命力が無い食材

多様性の欠如(どこのスーパーも皆同じ品揃え)

           さらには 狭い,高湿度の日本で作る必要は無い?

           海外農産物に依存・・・・安い

一方これに対して、私どもは

   自然栽培は永続的な命のつながりと生物多様性を維持することができる。

しかし、現実に、どれだけの農家が生き残れるのか?

      “Forest Man in India(YouTubeで是非ご覧ください) に見る希望と覚悟    貧者の一灯

 日本の有機栽培普及度が米国、ヨーロッパに比べて1/10はなぜ?

      日本 0.4% vs. ドイツ4.4%、スイス7.1%、アメリカ5%

その原因は

   ④家庭の崩壊ではないか?

・・・・家庭料理の消滅、個食の現状、朝ご飯を食べない子

     「普通の家族が一番怖い」2007年著作 2000年と2005年の首都圏の状況比較

   ⑤和食の崩壊・・・・消えゆく「だし」,薄味 

      味覚の欠如

   以上の問題から私の提案は 

本物の野菜、米、味噌、醤油で

         「薄味&粗食」 そして 「味覚と健康(と文化)」を取り戻そう

以上の問題提起をさせていただきましたが

パネラーの皆様からは時間の都合上、以下の2点に集約してお話頂きました。

環境を守る視点       ・・・荻原様、大槻様

経済的施策としての価格政策について・・荻原様、吉田様、河野

➀については、荻原様からは、食育活動を中心にお話頂く中で、

1)「捨てる」ことが少なくなった。「もったいない」の意識を持つこと

2)プラスチック問題の深刻さ

3)腸を壊す環境を我々がつくっている

などのご指摘を頂きました。

また、食生活についてカタカナ食(洋食)ではなくひらがな食(和食)を

食べましょうとのお話も頂きました。

大槻様からは、里山再生活動のお話から、現代の土木建築のもたらす問題点

コンクリート、アスファルトが空気と水の流れを止め、土を殺してしまう

とのお話を頂きました。

➁については、吉田様からは、価格は1.5倍にしてること、そして価値を伝えていることを

       話していただきました。

       荻原様からは”You are what you eat.”の言葉を

       そして差・違いの解るようにしよう

       本物を食べること、価格より価値を見抜くことの大切さを話されました。

私・河野は、生産者・販売者の立場から、

「マーケッティングの常識では本物は10倍です。

しかしそれでは高価すぎるので3から4倍で販売しております。」と

申しあげました。

最後に総括として、「是非シーズンに1回で良いから、、本物の食材を使って、自ら調理されご家族、お子様やおまご様とご一緒に食卓を囲んでください。」と申しあげました。

その後は、恒例のワインやお茶の飲み比べ会を行い、私どもの枝豆、冷凍ミニトマトを召し上がっていただき、参加者同志の交流を図っていただきました。      以上


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苗用の土作り

河野農園では、お野菜もお米も苗作りから始まります。

種を播く土も無農薬・無肥料のそれぞれの畑や田の土を使います。

粘土質の土塊をこぶし大まで崩して乾かし

何回も木槌で砕いてふるいながら「土」を取って行きます。

お野菜用の畑の土は5mm以下、お米用の田の土は3mm以下までふるいます。

土埃がひどいので防塵マスクを着用します。

こうして作った土に,培土やくん炭を混ぜた土に種を播くのです。


 

足かけ3年の基盤整備工事

 

2017年から新規に農地を借り入れしましたが、

 

残念ながら湿田で排水性も湛水性も乏しい状態のモノでした。

 

大型機械を入れても緩くて収穫を放棄するような田んぼで、私どもの持つ小さいトラクターを入れますと、泥にはまって出られなくなってしまう様な地盤の緩い土地でした。

 

給排水の配管位置がわからない。

 

あるいは機能していない。

 

法面が崩落している、漏水が著しい。

 

地面の傾斜が偏っているなど等の問題から、すぐに作付けできるような土地ではありませんでした。

 

そのため、夏場の晴れ間などを使い、こつこつと排水管の再敷設、

 

外溝の掘削、崩落法面の補修などをして、ようやく湿田を畑の圃場として利用できる形に整えました。

 

 

 

はじめはバックホーを入れるのもお腹をすってアームで移動しなければ動けないような場所でしたが、

 

少しずつ排水性を良くしながら、

 

時間と労力をかけて利用できるように改善しました。

 

 

 

中山間部の農地は大体みな同じような状態ではないでしょうか。

 

大規模な圃場整備をしてから当地では40年が経過し、

 

大規模化、機械化などの取り組みなどがあったそうですが、

 

大きい田んぼでもせいぜい23反で、のり面が高く、平野部で見られる畔を乗り越えての

 

圃場の移動などが無理な場所が多いため、農機の移動も、畦畔の草刈りの労力も平地とは全く違います。

 

そんな山間部ですが、

 

地道にコツコツと取り組んでおります。

BEFORE

工事前

 AFTER

工事後

種取り用ハウスの完成

 

18年末から新規圃場の基盤工事と並行して進めていたのが種採りハウスの建設です。

 

山が近く、周辺からの受粉の可能性も少ない場所ではあるものの、水はけの悪い死地を改良しての建設です。

 

もともと地下水位が高い場所でしたが、畝を高く盛ることで野菜が問題なく育つことは確認できていましたので、土台を作りその上に土を盛り、畝を立ててからの、建設基準の作成。

 建設開始

基盤工事に注力していたため、19年から骨格の建設をはじめました。アーチパイプを配置し、背骨となる直管を5本固定しましたが、やはり地盤が緩いため、場所により水引線より5cm沈むという状態に。

 骨格

アーチの穴に小石など詰め込んで固定してはいましたが、建設を進めて鉄管の骨がそれぞれ組み合わさると重さもそれなりになります。勝手に沈みます。

 

ということで丸太を切って下鉄管と地面の間にかませてジャッキアップ。これで下がりすぎることはなくなりました。一通りの骨組みを組むのは終えて、19年の秋に聖護院蕪の種を撒き、骨組みだけのハウス内で栽培開始です。

 聖護院蕪

20年の1月に入り妻面の建設も終えて、本格的にビニールや防虫ネットの展張となるのですが、綾部では3月に岸焼という川岸や農道・畔などの冬の枯れ草を焼き払う行事があります。

 

山が近いので結構な法面があり、毎年焼くのですが、ビニールハウスにとっては火の粉が飛んで触れると穴の原因になります。今年は雨のため中止になりましたが、当日の天気によるので、中止か岸焼が終わるまでビニールは張れませんでした。そうこうしているうちに無事に育った聖護院蕪は花芽を伸ばし始めます。あまり大きいとは言えませんが霜にも虫にも負けなかった、形の良いものを残して間引き、選抜をします。

 

1月には防虫ネットを張り、岸焼中止後に天井ビニールを張り、急ピッチでハウス外観を建設。無事開花までには扉もついて建設が終わりました。今は開花してくる菜花にひたすら受粉作業をしています。

完成 

今年から夏野菜の一部も植え付けをし、交雑の心配が低いものを種採りしていく予定です。

 

  



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店長ご挨拶

綾部市に移り住んではや6年、木村秋則式自然栽培に学び、無肥料・無農薬での栽培を行っております。
4年間土作りに取組み、まだまだ田んぼの土ですが、そんな中で頑張って根を張り、一生懸命育ったお野菜をご提供しております。
永続可能で環境負荷の低い自然栽培で育った、自然の深い味わいと、変化をお楽しみ頂ければ、幸いです。
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