農業レポート
気温変化、栽培方法、その先に・・・・
最近の気象状況は、毎年大きく気温が変化している。
そういう中にあって、自然栽培のものが健闘していることをよく聞きます。
収量が慣行栽培の物を上回る事例も出てきております。
私どもの直近の事例では、ご近所の皆様が作っておられる白菜が結球しないのに、私どもの白菜が結球しておりびっくりされました。
これにはいくつもの要因があるのでしょうが、最大の要因は自然栽培の野菜は、肥料を与えられないことから根の張りが慣行栽培の物の3倍以上になることから天候異変に対する対応力が違うのでしょう。
その代わりに、生育必要期間が、慣行栽培の物の2倍ぐらいになることはざらにあります。
根の張るのに時間を要して、上の物が収穫できるまでに時間を要してしまいます。
慣行栽培では、肥料があるので最低限の根張りで、上のものができてしまうのです。
2番目の要因は、生命力の違いではないかと思っております。
固定種の野菜は、いのちをつなぐことが第一使命です。
(だから、旬があるのです。)
小さい個体も、大きな個体も、みなそれなりに自分の子孫を残すために最適な状態で花をつけようと考えます。
後述するように、昨今の気温が激変する環境下では、いつ花をつけるかの判断が植物にとって非常に難しくなります。従って、将来の先読み能力が非常に重要になります。
この能力は、個体で磨いているだけではなく、野菜集団の中で協力し合いながら危険分散すらしているのではないかと思います。
敢えて先に芽を出して、次に出てくる本命の野菜たちに地上の状況を教えているのではないかと思えるようなことも起こっております。
そう考えると、利益第一主義、生産性第一主義で進んできた慣行栽培では、使用される種の多くが周年栽培用に品種改良されておりますので、自然への感応度は鈍く設定され、マイペースで成長することになります。要は周りの環境には影響されることなく生産者の都合に沿うように設計されています。
天候・気温の変化が一定の幅に収まる場合はそれでよいのですが、昨今のように激変する場合は、適応できず、不作となります。
本来の生物は、多様性を確保し、環境の変化に集団で乗り切ろうとするものです。
今の人間社会は、これとは全く異なり標準化・量産化が第一目標です。
地域の環境を無視して突き進んでおりますので、あちこちで矛盾が生じます。
それが様々な病気や社会問題となって表れてきます。
結論としては、この標準化・統一化の人間活動は、自然の動きによって破たんし修正を余儀なくされると思っております。
しかし、それは、今すぐではなく、更に標準化・統一化・工業化が進んでいく中でより深刻なGAPとなって表れてくると思っております。
しかし、一方、当の人間は、次第にGAPの認識もうすれ、問題の根本的発生原因すらわからなくなってしまうのでしょう。
その時に大きな災害として顕現するものと思います。
過去の民族神話の多くに、一部の人間しか生き残れない災害が出て参りますが、それはそのような状況を語っているものと思います。
「生命の絆をつなごうとする人しか残れない、残らない」というのが真理なのでしょう。
心したいものです。
なお、福知山市の2012年から2018年まで7年間の最低気温をプロットいたいました。
ご覧ください。
縦軸が気温、横軸が日にち、系列1が2012年、系列7が2018年です。
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