農業レポート
賀茂ナス調理から気づく
農業レポート#20&食のレポート#9
お久ぶりです。
既に夏至も通り過ぎ、半夏生。梅雨も後半に入りました。
梅雨の晴れ間を利用しての、大豆の摘芯。
今日は、先日行った賀茂ナスの調理(実験)で感じたことを書いてみます。
(自然栽培農家の営業担当は自分で調理もします。)
5月東京有楽町、6月大阪梅田と、奥様方とシニア―の方を対象に自然栽培-食と健康-セミナーを行いました。
その中で、調理法についてもお話させて頂いたのですが、より具体的なレシピをとの
ご要求がございました。
そこで、早速、賀茂ナスについて、代表的な調理法
賀茂ナスの田楽
賀茂ナスの揚げだし
をやってみました。
材料の賀茂ナスは、私どもの農園ではまだできておりませんので
綾部農業大学校の賀茂ナスを購入。
600g400円。賀茂ナスとしては大ぶりでしたが、カットしてみると実も締っておりました。
(写真参照)
出汁は、京都・瓢亭家庭用レシピの八方出汁を使用。
利尻昆布ではなく真昆布とカツオを使用。
おいしい出汁ができました。
(昨年、わが農園の賀茂ナスをこれでやって美味しかったので)
さて、結果は
賀茂ナスの田楽
炊きみそは、白みそをあいにくきらしていたので普通の味噌で
瓢亭の炊きみそレシピで作成。
これは、おいしかった。
2.賀茂ナスの揚げだし (写真参照)
これが、意外に美味しくない。味がぼんやりしている。
何が違うのか?
つゆは、西健一郎氏の高弟:高田賀章氏に教えてもらった配合
(銀座たか田
https://www.facebook.com/銀座-たか田-1671175903099957/ )
出汁12に、みりん1、薄口醤油0.5、濃い口醤油0.5で作ります。
京料理の薄味の中で、賀茂ナスのやわらかさとうまみが引き立ちまったりした絶妙のおいしさになるはずだった。
(なお、今回は八方出汁ですが、昨年は出汁に1番出汁を使っていました。)
ナスは確かに柔らかかったしきれいだった。
しかし、旨味が無い。
田楽では、みその味が濃いのでごまかせたが
揚げ出しでは、その欠点がストレートに出て来た。
これから得た結論。
今の野菜は、形は大きくきれいだが、野菜特有のうま味に欠ける。
料理人も、大量に同時に作る店では、一定の味に仕上がるのでその方が都合がいい。
自然栽培の野菜のように個性があり、旨味がそれぞれ違うと、
調理法に個別対応が要求され難しい。
少数のお客様を相手に料理を提供される高田氏のような料理店では
高く評価頂いても、客単価が5千円そこそこで客回転率で稼ぐお店には
自然栽培の野菜は向かない。
味の濃い、単価も安い慣行栽培の野菜が向く。
その場合、味付けで補う関係上、出しは当然に濃くなる。
化学調味料の均質な味が最適だろう。
だから、薄味基調の日本料理より、味の濃い肉重視の欧米料理が向いている。
出汁を生かす京料理の薄味は向かない。
だから、今、出しをベースにする日本料理そのものが絶滅危惧種になってしまっている。
私どもの野菜は、自然の物、だから野菜個々に味が違う。
だから、生でまず味を確認して調理していただく必要がある。
なお、出しには健康に重要な役割を果たす豊富なミネラル分があることを付言しておきます。
大量生産大量消費に、自然栽培は向かない。
有機栽培が限度だろう。
ただ、牛糞・鶏糞を使う有機栽培が、JAS法的には有機栽培ではあるが
有機栽培と言えるものかどうか難しいところがある。
それは、読者諸兄にご自分で諸外国の事情を研究していただくと
お解り頂けるものと思う。
前回のセミナー「食と健康」でも述べさせて頂きましたが、
やはり真摯に本物を追求して行かないと
これからの世界、良いと言われているものが
実際にはそうでなかったというようなことが良くあるので
お互いにこころしたいものです。
河野 豊拝
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