店長ご挨拶
土崩し(水稲用)
土崩し(水稲用) 2017年3月24日
春先のこの時期、2月に切り出した田んぼの土塊を、
苗箱に敷き詰める苗床土へ変えるために、
乾かしながら徐々に切り崩し、最終的に5㎜前後の大きさまで崩します。
これに土3に対して米ぬかと粉砕籾がら、それに山の菌を混ぜて醸した培土を1足して育苗土の出来上がりです。
切り出した当初は20*20*10㎝ほどの土塊、
それを自然乾燥させながら、角スコップや金属へらで切り崩して行き、5~6㎝程の土塊へ、
そして最後に踏み潰し、ふるいに掛けて5㎜前後へと、
長い行程経て、稲作用床土は作られます。
(野菜用の苗土も似た要領です)
苗土は、それぞれ定植先の圃場から取った土を使います。苗土で育った種が、定植先で土質 の違いに戸惑わずに馴染みやすくするためです。
今年はもう一ヶ所田んぼを借りましたので、もう一つの土崩しが残っています。
稲作農家さん全てがこんな作業をしてるかと言うと、そんな農家さんは稀でしょう。慣行農家さんでは苗を作る方も少ないと思います。だいたいは地元のJAさんが一枚あたり二百円程で販売しており、発注しておけば田植え時期に合わせたものを届けてくれます。
勿論、苗箱用の土も売っています。
土の粒径が均一で、肥培管理とpH調整がなされた育苗用の土が一袋幾らといった感じで。
粒子が揃っているのには意味があり、均一な床土により、育苗箱内の生育の均一化を望めます。
とても便利で機能的です。
しかし、自然栽培では、無肥料・無農薬です。
消毒済み肥料入りの市販の土は使いません(自家製培土は入ってますが)。
同様の資材で作られたJAさんの苗も使いません。
種子消毒も温湯と泥水消毒のみで、薬剤は使いません。なによりベースを各田んぼの土で...。となると、省力化・大規模化が望まれる慣行農家さんでは物理的に無理があるというものです。土を取るだけでも一苦労ですが、乾かして広げる場所は相当なものになります。
取る土の量は、望む苗の大きさや植え付ける間隔にもよりますが、一反あたり12〜28枚前後の苗箱が必要で、それに合わせて土を取り、仕込みをします。
土を取る時期も、早めに取っておけば良いというわけではなく、寒い冬、活発に動いていた土壌微生物が冬ごもりをしているうちに、その層を選んで取ってくるというもので、うちでは大体2月前後の範囲で取ります。
なお表土の2cm程は雑草の種やワラなどがありますので取りません。完璧にとは行きませんが、少しでも育苗中に稲以外のものが生えないようにするのと未熟な有機物を入れない為です。
播種後の育苗も温度管理や潅水のタイミングなど、気を使いますが、苗土を作ると言うだけでも大変な時間と労力を要するものです。しかし、これにより思入れも一段と深いものになります。
春植えざれば秋実らず。また一年の作付けが始まります。
写真は2月の土取りの様子
3月の乾燥させた土崩し後
コメントはまだありません。